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太宰治 著 「人間失格」の読書感想文 ~『生き方』における反面教師 ~

公開日: : 最終更新日:2017/09/09 読書感想文

 
この小説は、「太宰治の遺書(心の告白)だ」。

 

年譜によると、太宰治は「昭和23年 三十九歳 三月から五月にかけ「人間失格」を執筆。
六月十三日深更、山崎富栄と共に玉川上水に入水」とある。

 

自身を主人公の葉蔵に投影することで、心の整理(もしくは心情の吐露)をして自殺したのだろう。
太宰と葉蔵は、女と自殺とモルヒネ中毒の生涯を送る。波乱万丈で、読んでいてドキドキした。

 

小説は、

はしがき

第一の手記

第二の手記

第三の手記

あとがき

 

以上の構成となっている。
はしがきにて、第三者の葉蔵の写真を三葉みた感想が描かれている。

 

薄気味の悪い笑顔の幼年時代(十歳前後)。
気味悪いものが感じられる美貌の高等学校か大学時代。

 

そして、いやな気持ちにさせる頭も白髪時代。
年をとるにつれて、不気味さが増している。

 

はしがきを読むだけでも、葉蔵の行く末が案じられる。


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第一の手記、第二の手記、第三の手記は、葉蔵の視点から書かれている。

 

第一の手記は、「恥の多い生涯を送って来ました」から、始まる。
この一文に、自分の悪行を告白しようとする勢いを感じた。

 

そして、暗い。

 

葉蔵は、「考えれば考えるほど、自分ひとり全く変わっているような、不安と恐怖に襲われるばかり」。
隣人と会話が出来ず、「道化」を演じて、人を欺く。

 

この「孤独の匂い」が女性につけ込まれる要因にあると予感する。
第一の手記を読んだ時点で、人生破滅への変な期待感が高まる。

 

やはり、第二の手記と第三の手記は、メチャクチャだ。
東北の或る中学入学しても道化を続ける

 

しかし、クラスでも一番さえない竹市は道化を見破った上、
「女に惚れられる」「偉い絵描きになる」と予言。

 

「女に惚れられる」予言は当たる。
東京の高等学校に入学し、悪友の堀木から、酒とタバコ、淫売婦と質屋と左翼活動を教わる。

 

そして、女と数々の事件を起こす。
人妻でもあるカフェの女給ツネ子と入水自殺を図り、葉蔵のみが生き残る。

 

この事件をきっかけに、土地の名士である父からの仕送りが途絶える。
「偉い絵描きになる」予言は、少しだけあたり、雑誌記者シズ子から漫画の仕事をもらい生計を立てる。

 

その後、バアのマダムからタバコ屋の娘ヨシ子へと渡り歩く。
漫画から春画へと転向し、仕事も落ちていき、モルヒネ中毒にも陥り廃人となっていく。

 

途中、父の代理人である渋田が手を差しのべるのだが、「誤解」によりうまく行かない。
太宰自身十一人兄弟の六男なので、裕福な名士である父親の愛情を受けていない。

 

その反動が、女性への愛慕となるのではなかろうか。

 

はしがきでは、再び第三者が登場し、手記の感想を述べる。
手記の結びは、「(二十七だが)四十以上にみられます」だ。

 

父の愛情不足により、このような生涯を送るのだが、
手記を見せたマダムは「神様みたいにいい子でした」と言う。

 

生きることは苦手だが、小説にて自分をさらけ出して自分と人生を愛したのだろう。
作中のシズ子も連れ子のシゲ子に「いいひと」と教える

 

マダムとシゲ子の一言で、葉蔵と太宰、そして読者も救われる。
愛情が欠けている小説のようだが、「愛情のひと筋の光」をまぶしく感じられた。

 


『生き方』
における反面教師 人間失格


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